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の昔、難病をわずらい余命3ヶ月と

宣告を受けた男が訪れたのは、

未来が見えるという天文台。

何でも、占星学を用いてこれから起こる

未来を自動算定する占術機械を

備えているとの事である。

 

『ようこそ、いらっしゃいませ。当天文台は、

必要な情報を入力すると

自動で巨大望遠鏡が動き、

星々の配置を詳細に観測。

得られた結果をもとに、

電算機があなたの未来を判断し覗いた画面に

イメージ投影するという画期的な

システムでございます。』

『しかも電算機や望遠鏡を動かす電力には

巨大な風車によって自家発電しており、

それは同時に風の状態をも観測できるため

未来観測におおいに反映されております。』

 

係の男に案内され、巨大望遠鏡の前の席に座り

占いを開始する。

望遠鏡が大きく回転し、

男の運命を探し始めた。

 

ところが次の瞬間、ものすごい突風が

吹き荒れた!

発電用の風車は超高速で回転、

電算機には予想を上回った過剰電力が流れ

ショートしてしまった。

 

占術機中を電気が駆け巡り、

強烈な電気ショックを受けた男も危うく

観測シートから転げ落ちそうになった。

その数日後、

男が再び天文台まで駆け込んで来た。

 

『聞いて下さい!難病が治ったんです!

今、病院で検査して来たのですが

黒ずんだ病気の影が消えて、

真っ白になっていたのです。

あの望遠鏡の真っ白い画面は、雲の上の

天国ではなく、病気が消えてなくなる事を

意味していたんですね!』

男は、天文台に着くなり嬉しそうにそう叫んだ。

 

この噂は瞬く間に広がり、未来を見通せる

占術機天文台として人気を博して沢山の人で

賑わったのだった。

 

---ところでその男の難病、

それから数十年も経った後に

画期的治療法が発見されたとのこと。

 

何でもその療法、

『電気ショック療法』だとか…

男は、気を取り直して観測画面を見てみると

画面は真っ白になっている。

『やはり私の運命は、この画面のように

真っ白な雲の上の天国行きと

いうことなのか…』

 

意気消沈した男はそうつぶやいて、

天文台を後にした。

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