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カウンターに腰掛け、K氏は水割りのグラスを

片手にポップコーンをつまみながら友人に

得意げに話し始めた。

 

「ポップコーンって

最近は、飛行船で売りにくるんだぜ!」

 

先日、家族連れで遊園地に行ったときに

出くわしたポップコーン・デリバリーシステムの

ことだ。

空を飛ぶ飛行船内でトウモロコシを

生産・収穫後、様々な味のポップコーンに

加工し小型の無人ヘリコプターで

客の手もとまで届けるというもの。

「すごいんだぜ~!!」

K氏は、得意げに話を続ける。

なにやら『食べたい』と思っただけで、

トウモロコシ型巨大飛行船から

自立ロボット型ヘリコプターが飛んできて

好みにあった味のポップコーンを差し出して

くれるらしい。

「しお味、バター醤油味からキャラメル味、

チョコ味…いろいろあってさオレ、

イタリアンが好きじゃん。

そうしたら、何も言わなくても

”オリーブオイル風のバジル味”を

出してきたんだぜ」

マスターは続けた。

「私もこの間、あるイベント会場で

トウモロコシ飛行船から

ポップコーンを買おうとしたんです」

「小さなヘリコプターは、すぐに

近づいてきましてね…

でも、ポップコーンは出てこないんですよ」

 

「??」「そうしたら、そのヘリコプターは言うんです

『アナタハ血圧・中性脂肪ガ基準値ヲ

超エテイルタメ、ポップコーンヲ

オ売リスル事ガ出来マセン』ってよ…」

 

---

 

近年、勝手に脳波や体の様々な

スキャンデータをコンピュータで解析し

マーケティングとして使用するケースが

増加しているという。

お客さん…」

K氏の話を聞いていたマスターが、

おもむろに話しかけてきた。

 

「どうして、そんなすごい事が出来るのか

分かります?」

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